正しいお墓参りの仕方
お墓は先祖や故人を祀るところです。そして、亡くなった人たちの菩提を弔い、供養するためにお墓参りをします。亡くなった人の冥福を祈るとともに、家族が無事に暮らしていることを報告し、ご先祖さまに感謝することに、お墓参りの本当の意味があるのです。
お墓はいつお参りしてもいいのですが、一般的にはお盆やお彼岸、命日のほか、法要のときや年の暮れ、お正月などがお墓参りのけじめの時期といえるでしょう。「仏滅の日はお墓参りしてはいけない」などと言う人がいますが、これは仏教の教えとはまったく関係のない俗信にすぎません。
お盆やお彼岸のときにも、いつも通りの方法でお墓にお参りします。お盆の場合、お墓で迎え火などの行事を行うところもあり、地方
によっては、灯籠や塔婆をお墓に立てますから、これについては慣例に従ってください。
また、お墓参りのときには、ぜひ子供たちを連れていくようにしてください。小さな子供にはお墓の意味がすぐには分からないかもし
れませんが、子供心に祖先を敬い感謝する気持ちを感じ取るはずです。子供は親を見て祖先への供養をどのようにすればよいのかを覚えますし、情操教育の場として最適だといえると思います。
お線香のあげ方
天台宗・真言宗はお線香を3本(身・口・意、または仏・法・僧に)、禅宗(曹洞宗・臨済宗など)はお線香を1本または2本(戒律・禅定
を誓って)、浄土真宗(大谷派・西本願寺派)はお線香1本を、それぞれ折って横にします。ただし、決まりのない宗派もあります。もし「正しいやり方で」という人は、菩提寺のお坊さんに尋ねるとよいでしょう。お墓参りでは普通、一束のままか半分に分けていますが、それで構いません。供養する心が大切なのですから、あまり形式にこだわる必要はありません。なお、お線香は完全に燃やしておくのがマナーです。
ちなみにお線香には、「異臭を消して空気を清浄にし」「眠気を覚まし(座禅のときなど)」「時間を計る(座禅のときなど)」の効用があります。インドでは「死後は香を食べる」と信じられていました。線香や抹香は、水とともに亡き人への食べ物として大切な供物なのです。
お数珠
お数珠の形や使い方も宗派によって異なります。一般的には左手に持ち、親指と人差し指の間にかけて合掌します。宗派ごとの正し
い使い方については、菩提寺に尋ねると教えてくれます。
合掌の仕方
合掌はインド以来の仏教の美しい礼法です。これには二通りのやり方があります。
密教(天台宗や真言宗)以外の宗派では、二つの掌(右が仏さま、左が自分)の指と掌をすき間なくぴったりと合わせます。これが最も一般的な方法です。
密教では、十二合掌といって、二つの手の指をそれぞれの間へ交互にぴったり組み合わせて合掌します。